つちのいえ 沓掛最後の日々(5)茶庭の記録
2024年1月1日
茶庭づくりは、沓掛キャンパスでしかできないことでした。 しかもこの自発的な茶庭づくりを通じて、高橋めぐみさんはその後の人生の歩みを決めていったのです。 余地の少ない、コンリート地面の崇仁キャンパスでは不可能。
創造的環境としての芸大キャンパスに求められることは何か? それは芸術の知識や技術を効率よく教え/教えられることだけでなく、学生自身が自らの芸術と人生を自分の手でつくっていくための可能性に富んだ場でなければならないということです。 この克明な茶庭の記録は、高橋さんたちが沓掛キャンパスの中にもうひとつの「芸大」をつくりだしていたことを物語っています。
読みたい人は高橋めぐみさんに直接連絡を取って下さい。 高橋さんの連絡先がわからない人は、井上(aki@kcua.ac.jp)まで問い合わせて下さい。
(井上記)
あけましておめでとうございます。
報告がおそくなりましたが、年の瀬に、高橋めぐみさんから、記録集『つちのいえ 茶庭記録』が届きました。
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by plus-ap
| 2024-01-01 00:21
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つちのいえ 沓掛最後の日々(4)報告
2023年12月21日(金)
企画したのは、京大地球環境学堂環境デザイン専攻ブラジル人留学生のアウグスト・オヤマ君。サンパウロの移民街リベルダージの歴史と現在を展覧会のかたちで訴えたいというアウグスト君に頼まれ、土や竹を扱う技術指導を井上が行いました。
南側(裏側)の屋根の梁を支える支柱が虫食いで傷んでいます。皮付の生木を使うといずれこうなります。ここが折れると、屋根は大きく変形するでしょう。自然に還っていくプロセスが始まっているといえます。
ちなみに、人がいなくなった沓掛キャンパス、中でもつちのいえの丘は、鳥たちの声に満ちています。 (井上記)
早くも年の瀬となりましたが、つちのいえに関して3点報告します。
1)もっかつちのいえの土の一部が、横浜のJICAに旅しています。
展覧会「リベルダージ:ディアスポラ、祖先、共存の地」の展示品の一部に使われているからです。
リベルダージは日系移民が多いエリアとして知られていますが、かつて奴隷として連れて来られた黒人の子孫も多く住んでいます。アウグスト君は日系の歴史的住環境を竹で、黒人系のそれを土で象徴させようと、独自のかたちのオブジェをつくって象徴的要素として展示しています。
アウグスト君に進呈したのは、つちのいえの北壁に使われているつぶされた竹林の土の残土です。つちのいえでも最初期の土が、横浜に移って、移民の人たちの暮らしの歴史を伝える展示の一部になるというのは、不思議ですが、有意義なつながりだと思います。
彼は、去年(2022)秋、つちのいえに来た京大のインドネシア人留学生マデ君の同窓生でもあります。マデ君の研究テーマも、気候変動のためサイクロンなどが増えているインドネシアの災害復興に現地で摂れる竹と土による空間デザインを活用することでした。
つちのいえの素材や技術が、人権や環境の問題に直面する留学生たちに役立つのはうれしいことです。
2)12月15日、井上が滋賀県立大学でレクチャーしました。今年9月から生活デザイン科に講師として着任した京芸PD出身の星野祥子さんの招きによります。
星野さんは2006年に京芸を卒業しているので、つちのいえはリアルには知りません。しかし、今後のデザイン教育を引っ張っていく人なので、つちのいえで学んだ素材とかたち、つくる場と人の関わりは、しっかり伝えておこうと努力しました。
セミナーの参加者は、生活デザイン科と環境建築デザイン科を中心に50名ほどでした。
3)つちのいえの健康状態
9月の報告でふれたように、つちのいえの北側の屋根の梁の一部が折れて、屋根が変形しています。
この部分から屋根が壊れていくと思われます。
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by plus-ap
| 2023-12-22 18:43
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つちのいえ 沓掛最後の日々(3)来訪者
2023年10月16日(月)
西の尾道からの来訪者は、現在尾道市立美術館で大規模な個展を行っているマレーシアのシュシ・スライマン Shooshie Sulaimanとその家族のファティマとシドラ、尾道市立大学教授でアーティストの小野環さん、東からは山形の東北芸術工科大で日本画を教える末永敏明さんのパートナーで美術史家の末永やよいさん。
つちのいえに東と西から2組の美術関係者の訪問がありました。
(*すでに京芸は閉鎖されていますが、電気などのインフラを止めるのは危険なため、設備課はまだ勤務しておられます。特別に入れてもらいましたが、一般の人は入構できません。)
西の尾道からの来訪者は、現在尾道市立美術館で大規模な個展を行っているマレーシアのシュシ・スライマン Shooshie Sulaimanとその家族のファティマとシドラ、尾道市立大学教授でアーティストの小野環さん、東からは山形の東北芸術工科大で日本画を教える末永敏明さんのパートナーで美術史家の末永やよいさん。
小野さんは尾道の空き家をアーティストの活動場所として提供するAIR Onomichiというプロジェクトを続けておられます。シュシは2013年以来、そこに何度も滞在し、"Organizing Abandon(忘れられ捨てられたものに息吹を吹き込む)"と彼女が名づけるユニークな活動を行ってきました。今回の尾道での展覧会は、彼女の尾道での10年間の創作活動をトータルに展示する大規模なもので、美術館の外にも展示はひろがっています。
ドクメンタに参加したこともある社会派作家であるシュシはまた、マレーシアでプランテーションのために森から追い出された先住民オラン・アスリの創作技術の保存にも取り組んでいて、2019年9月に井上を先住民の技術を学ぶ現地でのワークショップに呼んでくれました。
シュシは今回の展示で空き家や廃屋の多い尾道の廃材などを大量に使っているのですが、展覧会のあと、それらを廃棄せず、地域内外の多様な人々が創作と交流を行う「パブリック・クリエイティブ」の素材にするそうです。
つちのいえも、2008年からの《峠の茶屋》や2010年の「生存のエシックス」展(京都国立近代美術館)での《Aqua-cafe》の素材の再利用を契機にしているので、発想に似た側面があります。
『つちのいえ』の記録集ができたときにシュシに送呈したのですが、多いに共感してくれて、今回、展覧会の合間を縫ってつちのいえを見に来てくれたのです。
AIR Onomichiの活動も、尾道の町と風景の形成を物理的技術的な過程も含めて読み解き、多様な創作活動に開こうとするものです。
シュシと小野さんがつちのいえに残された道具や素材に関心を示されたので、もう使うことのない(abandoned)三和土の道具と北山杉を進呈しました。
素材・技術・知恵を独占せず共有・循環させること。
>つちのいえのみなさん、いいですよね?
廃墟化しつつある芸大の校舎の暗い窓がやさしく微笑んでいました。
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by plus-ap
| 2023-10-17 23:24
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木下愛理、本日「鶴瓶の家族に乾杯」に出演!
2023年9月25日(月)
つちのいえの元メンバーで現在、山形で茅葺き職人として活躍している木下愛理さん(陶磁器専攻、結婚して現在は荒愛理)が、本日(9月25日)19:57から放送のNHKの番組「鶴瓶の家族に乾杯」に登場します。
9月2日に井上宛に愛理さんから、「茅取る作業中に鶴瓶さんらの取材陣に見つかり、番組に出ることになりました。しばらくご内密に」と電話がありました。放送はいつのことやらと思っていたら、今日の新聞の番組表に出ていました。
以下、愛理さんからです。
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本日と10/2とで前編・後編とあります。 前編の最初の方に登場するかもしれませんが、後編の振り返りでも登場するかもしれません。 どきどきです! どうぞご笑覧下さい。
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追加:
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スタジオで、江口のりこさんの後ろの方にあったカカシ、左手に持っているのは…私の作ったススキの箒です‼︎ (来週の放送では)それにも触れてもらえるのだろうか…⁉︎
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つちのいえの本に載っている木下さんのページ(p.125)をアップしておきます。
愛理さんが書いている茅葺きの師匠・斎藤進親方は、2016年にお亡くなりになりました。なんと明日9月26日が命日。
斎藤親方は、愛理さんとつちのいえ全体の恩人です。屋根葺きは、人が生きる環境をつくるすべての技術のなかで、根本的な位置にあります。
放送後,奥様から電話がかかってきて、あらためてお礼を述べました。
ちなみに、つちのいえの本と活動は,2022年度意匠学会作品賞を受賞しました。
(井上記)
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| 2023-09-25 16:58
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つちのいえ 沓掛最後の日々(2)
2023年9月13日(水)
つちのいえから見た音楽学部棟。人けはなく、窓の奥には暗がり(自然)が広がっています。つちのいえの丘は葛のツタで覆われています。 土浮庵のテラスにもツタが這い上がってきています。 つちのいえはいっけん元気そうに見えますが、、、 屋根が・・・ 竹の梁が折れて、柱が屋根から付き出していたのです。
美術学部・音楽学部の引っ越しも終わった沓掛キャンパスのつちのいえ。
建物と同様、しばらく放置されます。
人が去った場所には、自然が勢いを盛り返します。
こちらにも折れてはずれた箇所があります。
虫食いの進んだ柱は、丸太を突っ込んで補強した竹の梁を支えているのですが、ここもいつの日か折れるでしょう。
自然から素材を採取したつちのいえがどのように自然に還っていくか、可能なら月に一度はレポートします。
(井上記)
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| 2023-09-13 23:42
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つちのいえプロジェクト活動記録
by plus-ap
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Member: July 2021
小清水漸 井上明彦
秋山 陽 長谷川直人
大矢一成 飯田真人
梅木翔子 飯田美羽
髙山椋誠 森川桜帆
董 源
梅木翔子 安田 琉
高田沙織 刘 倩
呉 雨吉 呉 雨吉
LIN PEICHAO
足立侑弥 永田 充
吉村衿菜 安田 琉
刘 倩 李 盈蓁
酒井 楓 山本悠葵
北林綾子 早川美月
山口はるき 若林 綾
大西亜花里 岡田 茜
香川未生 松井 響
荒木颯太 田鎖賢吾
永田 充 松尾奏佑
金木春奈 蔡 煜桐
前 瑞紀
宇野 慶 落合七海
新開亮輔 蛯原妃南
矢野陽太 酒井 楓
長谷川悠太 小岩井琳太郎
鄭 天雨 前 瑞紀
高木梨奈 遠藤桃花
石原彩華 福永佑衣
窪田真由美 井上万梨子
宮木奈緒 権藤那英子
大石詩乃 廣川 秀
大里真瑛子 櫻井莉子
畑下 素 米田 望
野村有香 志水ひかる
安間雅人 上西 樹
瀧本 瞳 河野沙也子
巽 史織 稲あゆ美
伊藤真理衣 櫻井敦子
前田あかね Mbugha Meni
有田加鈴 神山実貴子
清水彩瑛 高橋優依
長野美里 林佳奈
増尾ひいろ 田中優里
渡部克哉
河合正太郎 細川真歩
佐伯真彩 垣内美佳里
水野真希 樋口理菜
鈴木秀子 塩田千裕
岡本真侑 朴 美香
川久保美桜 砥綿 栞
森脇夢子 東 美旺花
堂本真由 北尾祥子
高瀬 葵 有吉かな子
本間由夏 佐藤由輝
柳 在昊 Ninni Maklin
平田万葉 村井陽平
下迫良輔 遠藤彰子
小西景子 永吉智紗葵
吉川 昌 監物紗羅
樹田明子 寺岡麻美子
高嶋里奈 楠井沙耶
五十川命 松本明香里
古見亮太 野村真美
杉尾智子 瀬口優和
平野佑季 金 理紗
田中美帆 藤田紗衣
出口義子 下村一真
松本崇利 高江洲佳乃
児島優美 高橋めぐみ
北野侑子 木田菜摘
栗田有佳 熊田悠夢
于 瀚程
城田香菜子 南 大樹
石上 漱 矢野洋輔
藤村佳朋 楠崎真央
一柳瑞穂 佐藤亜美
佐藤悦子 米倉由佳
江川 恵 島田鮎香
岡村真友子 佐々田美波
佐藤亜美 宮崎佳奈
珊 娜
池田恵子 佐々木知里
河野萌望 清水みゆき
境田早智子 佃 七緒
横田恵子 川端あす香
小川知美 奥野果乃子
山口暁子 鈴木ひかり
王 艶瓊 池田 崇
日下知恵子 藤河ゆう
稲垣若菜 来見 環
大原美樹 谷口 悠
前田菜月 塚本春日美
西村知子
松尾行恵 是永麻貴
嶋田康佑 高原みな子
荒川夏名 土橋 藍
権 美愛 村田ちひろ
木下愛理 荒川夏名
富元秀俊 中岡庸子
山口哲史 堀内 航
上坂秀明 林千花子
(順不同)
■つちのいえHP
■連絡先
井上明彦:aki@kcua.ac.jp
■協力
京都市立芸術大学
大枝アートプロジェクト
畑中久美子デザイン室
創作建築工房大五
大薮農園
達城土木
松尾工務所
吉井工務店
久住 章
萱金(かやきん)
畑中屋根工事
しっくい浅原
秋山 陽 長谷川直人
大矢一成 飯田真人
梅木翔子 飯田美羽
髙山椋誠 森川桜帆
董 源
梅木翔子 安田 琉
高田沙織 刘 倩
呉 雨吉 呉 雨吉
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野村有香 志水ひかる
安間雅人 上西 樹
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